雑踏の中に立つパリ最古のオアシス
パリ6区、賑わうサンジェルマン・デ・プレ駅の交差点。
人々が行き交い、カフェやブティックがひしめくこの街の一角に、落ち着いた佇まいの教会があります。
6世紀に創建され、パリ最古の歴史を持つサンジェルマン・デ・プレ教会。
近づくと、石造りであることからロマネスク様式であるとわかります。
小さな石を積み上げていく為、窓が小さく厚い壁が特徴的。
派手さはない外観だけど、中に入ってみたくなる不思議な魅力があるのです。
大学の講義で、多くの生徒が興味を持ってくれた1ページを今回の記事の題材にしてみました。
なぜ、この教会にいると心が静まるのか?
教会の扉を開けると、外の騒がしさとは別世界のような静けさに包まれます。
奥へと進むと、正面のステンドグラスから差し込む、控えめな光が体じゅうに優しく溶け込んで。
こういう光は、空間全体をやわらかく照らし、心を穏やかにしてくれるようです。
建築家の巨匠、ル・コルビュジエは「光は建築の素材のひとつ」と述べました。まさにその言葉を実感します。
この場所では、光そのものが空間の雰囲気をつくり、私たちの心の状態にまで深く作用していることがわかるのです。
ステンドグラスはゴシック建築の象徴。
この教会は、もともとロマネスク様式で建てられましたが、後の修復でゴシック様式の要素も加わりました。
ヨーロッパにはこういう建物が多いです。
時代の変化を受け容れながら、新しきを取り入れ今に在る。ヨーロッパの人の柔軟な気質でしょうか。
ステンドグラスは、時を経ても光をやわらかく演出し、空間全体に穏やかな雰囲気をもたらします。
暗闇に差し込む光、再生の物語

この教会は、9世紀にノルマン人の侵攻で大きな被害を受け、その後も幾度となく修復されてきました。
外観は質素ですが、内部には歴史の重みと困難を乗り越えてきた力強さが秘められています。
暗がりの中に差し込む光は、ただの装飾ではありません。
どんなに大きな傷を負っても必ず再生できるという、強いしなやかさを感じます。
この光の歴史を知ると、心が静かに満たされていくような感動があるのです。
日常に活かす光との向き合い方
私たちが生きる日常は、感情のジェットコースターです。
一喜一憂に振り回され、心が疲れ果ててしまうこともあります。
そんな時こそ、心身のバランスを保つことに意識を向けることが大切です。
サンジェルマン・デ・プレ教会が思い出させてくれたのは、【光は心を整えるための「設計要素」】であるということ。
教会のような場所にいると心が満たされるのは、もしかしたら科学的な理由があるのかもしれません。
近年、量子力学の分野では、私たち人間の体も、光の最小単位である「フォトン(光子)」でできているという考え方が提唱されています。
私たちはフォトンを取り込み、フォトンを放出しているわけです。
太陽の光を浴びたり、キャンドルの炎を見つめたりすると心が落ち着きます。
これは、私たち自身の根源である「光」とのつながりを再確認しているからかもしれません。
光との向き合い方を変えることは、単に部屋を明るくすることではないのです。
それは、私たち自身の根源である光と向き合うこと。
そして、それは特別な場所でなくても、私たちの家で実践できます。
ほんの少し「光」を意識するだけで、心の状態は大きく変わるのです。
心のバランスを整える、光の小さな習慣
【夜はキャンドルで心を満たす】
夜は、昼の強い光から解放される時間。
キャンドルの揺れる炎には、心拍数や脳波を安定させる「1/fゆらぎ」が含まれています。
一日を締めくくる時間に、キャンドルの光で心を静かにクールダウンさせましょう。
【朝の光で心のリズムを整える 】
午前中、カーテンを開けて朝日をしっかりと浴びましょう。
太陽の光は、脳内のセロトニン分泌を促し、一日を穏やかな気持ちで始める手助けをしてくれます。
【やわらかな光で心を落ち着かせる】
日差しが強すぎる時は、サンキャッチャーやレースカーテンを使って光をやわらげましょう。
光の質を意識するだけで、穏やかな気持ちになれます。
あなたの家に「光のオアシス」を作る
サンジェルマン・デ・プレ教会が教えてくれたのは、「光は心を整えるための設計要素」であるということ。
そして、どんなに大きな傷を負っても修復は可能だということです。
自宅の中でも、光の入り方を工夫することで、小さな癒しの空間をつくることができます。
窓辺やリビングの一角に、お気に入りの椅子や植物を置き、光とともに過ごす時間を増やしてみてください。
光との向き合い方を変えることは、単に部屋を明るくすることではありません。
それは、私たち自身の根源である「光」と向き合うこと。
そして私たち自身もまた、美しい光の存在だということ。
あなたの家に「光のオアシス」を作ることは、あなた自身の心を癒し、輝かせることにつながるのです。
