【フィーカ&ヒュッゲ】北欧の知恵と私だけのマドレーヌ習慣

« Et tout d’un coup le souvenir m’est apparu. »

「そして突然、記憶が私の中に立ち現れた。」

フランスの作家プルーストの『失われた時を求めて』という小説の一節です。

紅茶に浸したマドレーヌをひと口食べた瞬間、 忘れていた幼少期の風景がデジャヴのように。

ふと思い出された体験をこのような表現で綴っています。味や香りが、深く眠っていた感情や記憶をよみがえらせるこの現象。

後に「プルースト効果」と呼ばれ、私たちの心の記憶再生として知られるようになりました。

こんな風に、幼い頃に感じた温かさ、安心感、そして満たされた幸福感。

これらは、瞬時に心に蘇り、そっと癒やしてくれる効果が高いそうです。

あなたにとって、プルーストのようなマドレーヌ体験はありますか?

今日は、幸福度を大切にする北欧の知恵を通して、自分のなかにある「幸福度」にフォーカスしていきましょう。

フィーカで「今ここ」から「幸福」時間へ

日々の暮らしの中で、おやつの時間を「ただの小腹満たし」で終わらせていませんか?

お友達とおしゃべりしていたら、いつの間にか食べてた…みたいなことはよくあることなのかもしれません。

私たちに与えられた時のながれ。奇跡で宝のような時間です。

本当はもっと深く、私たち自身の幸福度を高める時間になりうるのです。

スウェーデンでの「フィーカ」という文化。忙しい日常から離れ、手を止め、人と繋がり、心身ともにリフレッシュする…

北欧の人たちの幸福度の高さはこんな日常から生まれるのかもしれません。

あなたの「マドレーヌ」は何ですか?記憶を呼び覚ます「心の原風景」

プルーストのいう「マドレーヌ」、あなたにとって、そんなデジャヴのようなお菓子はありますか?

昭和生まれの私は、揚げたてのドーナツかもしれません。

まだ小さかった頃、家の台所からふんわりと漂ってきたその甘い香りに、私はいまでもふっと心がほどけます。

あの頃の温かい記憶が、その時代の嬉しさやせつなさ、様々な想いが鮮やかに蘇ります。

出されたドーナツはホットケーキミックスを溶いて油で揚げた、穴の開いていない、げんこつドーナツでした。

後に沖縄へ行ったときに、サーターアンダギーを油で揚げる時のにおいで、母が作ってくれたげんこつドーナツが蘇りました。

子供の頃は、夢と現実の境目があまりないと言われています。

親から「そんな夢みたいなことばかり言ってないで」って言われたりしませんでしたか?

私が以前保育園で働いていた時、おやつを食べる時の子供たち(特に2才くらいまで)を観察していると、あることに気づきます。

人から見られていることに気づかないくらいお菓子に集中して味わっています。

目はどこを見ているでもなく、焦点がぼんやりと。そんなイメージです。

もしかしたら、こんな状態の時、夢と現実の間のような時間、「今ここ」に集中しているのかもしれません。

美味しい甘さの記憶の基盤は、こんなところにありそうです。

五感を研ぎ澄ます「フィーカ&ヒュッゲ」|「小さな幸福」の見つけ方

スウェーデンには「フィーカ」、デンマークには「ヒュッゲ」という習慣があります。

これは単なるコーヒーブレイクではなく、日常の中に静けさと余白を取り戻すための、大切な「間」の時間です。

ぬるめのコーヒーと、少しざらついた記憶があるシナモンロール。デンマークのコペンハーゲンで体験した、私の記憶です。

スウェーデンのヒュッゲの場合は、灯りの色や器の質感、窓から差し込む光といった「空間」も大切にする文化です。

味覚だけでなく、視覚・嗅覚・触覚など感を通じて「今ここ」を味わい、自分の心と静かに向き合う時間なのです。

この「今」を大切にする感覚こそが、北欧の人々が高い幸福度を持つ理由の一つだと感じています。

日本人はもともと「間」に対する美意識をもっています。茶道や華道に見られる「侘び寂び」の精神にも通じるこの「間」。

しかし、時の流れがスピーディになり、「タイパ」と言われる現代。

この「間」や「空」への美意識を置き忘れることは少しもったいないなあ…と思ったりします。

おしゃべりに夢中で、何気に手にとったおやつ、その瞬間の感覚は、覚えているでしょうか?

フィーカやヒュッゲなどの、人としての「幸福度」に焦点をあてた、この習慣。

日本の「おやつの時間」にも意識することができるといいですね。

私たちの日常は、「今ここ」を感じることで、これまで感じたことのない豊かさの機能を知ることになる気がするのです。

タイパ…しばらくお預けにしてみるのもいいかもしれません。

日本のおやつ文化を「もっとマインドフルに、幸福を感じる時間」へ

「おやつ」は、ただ胃袋を満たすためのものではないです。

「甘い」という特別な感覚を取り入れながら、「今ここ」を感じることで、自分には充分な豊かさが「在る」を認識します。

今すでに「在る」という感覚こそが、高い幸福度につながるツールであることは間違いなさそうです。

「午後のおやつ」の時間をマインドフルに豊かさを受け取ってみましょう。

あなたのフィーカのために。

マインドフル・イーティング 過食から自由になる心理学

ジョン・カバット・ジン氏の著書『マインドフルネスストレス低減法』

日常のささいな瞬間に意識を向けることの重要性、そしてそれが心にもたらす静けさと平穏は、「私だけのマドレーヌ習慣」の実践においても大きな気づきとなる書籍です。

フィーカやヒュッゲに欠かせないソイアロマキャンドル ローズの香りのキャンドル
取入れてみてください。



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