「なんだか答えを急ぎたくなる…」
そんな焦りを感じたことはありませんか?
胸の奥がぎゅっと締めつけられたり、頭の中が真っ白になったり。私たちの心と体は、とても敏感で揺れやすいものです。
しかし、ある専門家のあいだで、答えを急がず曖昧さに耐える力こそが人としての成長の鍵だといわれているのです。
その理由と具体的な習慣を探っていきます。
なぜ答えを急がないことが大切なの?
人は先の見えない状況に置かれると不安を感じます。
そこで「早く結論を出したい」という衝動が生まれますが、焦りは心身の負荷を増やします。
イギリスの詩人ジョン・キーツは、この「不確実さに耐える力」を ネガティブ・ケイパビリティ と名付けました。
日本でこの考え方を広めたのが、精神科医で小説家の帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)さんです。
著書『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』の中で、
帚木さんは「人が生きていく上で、この耐える力は欠かせない」と語っています。
特に印象的なのは、「不安や迷いは、すぐに解決できなくてもいい」
「完璧な答えを探すのではなく、曖昧な状態に身を置くことで、新しい気づきが生まれる」という視点です。
立ち止まる時間そのものが、心を深め、他者への理解や共感につながるのだと書かれています。
私自身、最初はこのことを理解するのにとても時間がかかりました。
が、「立ち止まる」という言葉を拾った時、曖昧さというものに、私のなかである別の類の理解が生まれました。
曖昧さは、物事の二極化から離れている状態です。
右でもなければ、左でもない。どちらが正しいとか間違いでもないです。
ジャッジのない中庸という位置に立つことで、物事、人において、360度を見ることができるかもしれません。
例えば、時間に遅れて言い訳をしていた人を、立ち位置変えれば「説明」と捉えられるようになるかもしれません。
曖昧さのなかに、柔軟な思考を見ることができるのかもしれません。
心理学の研究では「結論を急がない人は長期的に柔軟な思考を維持できる」と言われているようです。
実際、アメリカのスタンフォード大学での実験によると、「すぐに答えを出す」グループよりも、
「少し立ち止まって考える」グループの方が創造的な解決策を多く導けたという報告があります。
つまり、立ち止まることはネガティブなことではなく、心と脳に余白を与える科学的にも有効な方法だとわかってきました。
今日からできる!立ち止まるための5つの小さな習慣
「ネガティブ・ケイパビリティ」は、特別な才能ではなく、誰もが日々の生活に取り入れられる、身近な力。
- 瞑想で頭を空っぽにする
目を瞑ると何が起こるか?
90%目の前の現実を遮断します。最初は雑念や残像がずっとついてきます。
でも気にせずに目を閉じたままでいます。
そして、瞑想している自分を俯瞰で見ているような位置へ意識を移動させます。
夢の中で「これは夢だ」と気づく明晰夢のように、瞑想の中で目の前の現実は全て「夢である」と感じてみてください。
心がぼんやりとして、落ち着きます。
この瞑想は続けるうちに、俯瞰力、メタ認知力を上げることにつながっていきます。 - 白湯をゆっくり飲む
私たちの体の70%は水でできています。常に綺麗な水を循環させてあげることに意識を向けましょう。
植物に水をあげるのと同じで、人の体にも水分がいきわたることで、細胞が目覚めます。
お白湯療法という言葉があるくらい、大事です。 - 日記やジャーナリングで迷いを書き出す
答えを出そうとせず、思いのままに書くだけで気持ちが軽くなります。
書くということ。自分の内側にないものは出てこないものです。 - 信頼できる人と結論不要の会話をする
信頼できる人には、安心感があります。こういう時間では相手と共鳴するように言葉が循環します。
傷ついている時には、自然治癒力のある言葉が自然と出てくるんです。
どうでもいいことで、言霊を交わし合える相手は、とても大事ですね。
話せる人がいないという時は、カウンセラーという人もいます。 - 手を使うことに集中する
料理や庭仕事、編み物など「考えすぎない時間」が心を落ち着かせます。
体の内側からアプローチ
アーユルヴェーダでは、答えを急ぎすぎるときは
ヴァータ(動きや変化をつかさどるエネルギー)が乱れていると考えます。
そんなときは、温かくしっとりとした甘みのあるものがおすすめです。
煮リンゴ、甘酒、そしてターメリックやシナモンを少量入れたホットミルクなど。
ドライフルーツなど乾燥した食べ物は控えることをお薦めします。
乱れた心を落ち着かせる助けにしてみてくださいね。
▼どうしても立ち止まれない。解決できない時は、私からの提案、カードリーディングもひとつの手段に入れてみてください。
私自身が講師をしている、こちらの特別レッスンがおすすめです。

まとめ
答えを急がないことは、単なる我慢ではありません。「自分の心を守る智慧」でもあります。
心理学やアーユルヴェーダの知見からもわかるように、立ち止まる時間は、私たちの心と脳に深い栄養を与えてくれます。
今日からできるのは、大げさなことではありません。
「お茶をゆっくり飲む」「ノートに書き出す」「結論のいらない会話をする」といった、ささやかな習慣を意識するだけ。
身につけたいですね。
「答えを急がない力」
私も、日常での曖昧さと向き合ってみようと思います。
