食事を終えた午後の、穏やかな陽射し。
「なんて心地いいんだろう」
と同時に、体はぼんやりとしてくる。
テキパキと仕事をこなす周囲の気配が、
だんだん遠くなっていく。
重くなるまぶたに抗えば抗うほど、さっきまでの心地よさが、いつの間にか苦しい眠気へと変わっていく。
ついには「罪悪感」という存在まで顔を出すのです。こんなに心地よい陽射しの中にいるというのに。
――血糖値の変動だから仕方ない。
――体内時計の働きだから。
頭では納得できます。
体に備わっている生理的な反応なのだと。
体は、正直で、ただ必要に応じてオンとオフの切り替えをしているだけ。それなのに、心だけがその合理性に追いついていきません。
集中力が足りないのかもしれない。
もっと気を引き締めなければ。
眠気を感じているだけなのに、いつの間にか自分の能力や意志の強さまで疑い始めてしまう。
社会の中で長く生きていると、私たちは体の自然なリズムに抗うことを、当たり前のように覚えていきます。
疲れていても頑張る。
眠くても集中する。
気分が乗らなくても、予定どおりに動く。
そうしているうちに、いつでも高いパフォーマンスを維持できる自分が、ひとつの理想になっていくのかもしれません。
その理想からほんの少し滑り落ちたとき、私たちは眠気そのものよりも、「思うように動けない自分」に落胆してしまうのです。
1日には、体のリズムがある
自然界にリズムがあるように、私たち人間の一日にも、さまざまな変化があります。
私が暮らしに取り入れているアーユルヴェーダでは、一日の時間帯にも、それぞれ異なる性質があると考えます。
朝の6時から10時頃は、カパという性質が優勢になる時間帯。重さや安定、ゆったりとした性質が現れるとされています。
ところが現代の私たちは、朝から混んだ電車に揺られ、会社に着くなりプレゼンや会議に追われる。
自然のリズムに合わせるどころか、私たちは社会の時間割に合わせて、体を動かしているのです。本来はゆったりとした性質を持つ時間帯に、緊張や負荷がかかる。
そして、ランチタイムにようやくひと息ついたとき、張りつめていた緊張が緩み、どっと疲れを感じることがあります。
まるで、オーバーヒートしそうな体が、ようやくスイッチをオフにする機会を見つけたかのように。
以前の私は、眠気が来るたびにコーヒーを飲み、無理にギアを上げ直そうとしていました。
しかし、抗おうと力むほど、眠気よりも「動けない自分への苛立ち」ばかりが膨らんでいくだけでした。
自分という波に調和していく
自然界に昼と夜があり、引き潮と満ち潮があるように、私たちの内側にも「活動(陽)」と「休息(陰)」のリズムがあります。
そのリズムを整えるために、私が日常に取り入れているのが、呼吸を意識することや瞑想です。
私たちが生まれてから絶えず繰り返しているリズムのひとつが、「呼吸」だからです。
アーユルヴェーダの施術をしていた頃、多くの方の体に触れながら気づいたことがあります。
人の話を聞いているときに口がぽかんと開いてしまう方は、無意識のうちに「口呼吸」になっていて、呼吸が浅く、夜の睡眠の質まで下がっていることが多いのです。
まずは、鼻から吸って、吐くときは吸ったときの倍の長さを意識してみる。この基本の呼吸に慣れてみてください。
午後に強い眠気や停滞感を感じたときは、外側の仕事やToDoリストから一度目を離し、ご自身の身体にそっと意識を向けてみましょう。
- 呼吸は浅くなっていないだろうか?(静かに鼻から息を吐けているか)
- 肩や奥歯、体のどこかに、余計な力が入っていないだろうか。
- 一日の中に、ほっとひと息つける時間はあるだろうか。
お昼休みを利用して、10分だけデスクで静かに目を閉じてみる習慣。呼吸に慣れてきたら、ゆっくりと息を整えながら、自分の内側を静かに観察してみましょう。
ぎっしり詰まったスケジュールをやり遂げることだけが、満ち足りた一日とは限りません。
ときには速度を落とし、何かを生産するレースから一度降りて、ただそこにいる。
「整える」とは、訪れた自分の波(リズム)に寄り添う寛容さのことなのかもしれません。
ひと言メッセージ
実はこの記事、My Balance Fieldでいちばん最初に書いた記事です。
当初は「午後の眠気対策にトマトジュースを飲む」という、健康ブログのような内容でした。
ところが、眠気そのものよりも、眠気に抗っている自分の意識のほうがMy Balance Fieldで取り上げる内容ではないかと思い始めました。
そこで今回は、トマトジュースから「人間の意識」へと大きく視点を変えてリライトしてみました。
たかが眠気、されど眠気。日常のふとした出来事を少し深く掘り進めてみると、自分を縛っている無意識のパターンが見えてきます。
このMy Balance Fieldでは、日常の小さな出来事を入り口に、心と体、そして意識の働きを見つめていきたいと思っています。
私が暮らしに取り入れているアーユルヴェーダの知恵も、ときどき。
